開催の趣旨について (ページ トップ へ)
呼びかけ人 稲見哲男より
このフォーラムが開かれるに至った経緯は二つあります。
第一に、私が衆議院議員候補者として、十三の地に事務所を構え6年間活動し、新北野に住んで、毎日十三の町を見る中で、この町を市民にとって暮らしやすく活発な町にするにはどうすればいいか考えるため、十三(淀川区)地域で活動している方をお招きしての勉強会を開いてきたことです。
その勉強会の場で、いろいろな意見交換がなされたものを発展させ、多くの地域の方と共有してまちづくりをしていきたいということが、フォーラムの呼びかけにとつながりました。
第二に、今年3月3日に、地元十三のカフェ、カルチェラタンで鳩山由紀夫代表とともに、日頃このカフェを交流の場としておつき合いしている方々や、地域のみなさんと、十三の商店街の活性化を主題とした交流会を開いたことです。
そのとき代表とともに参加していただいた鈴木寛参議院議員の、まちづくりへの提案について学習を深めたいという声が多かったことも、本日のフォーラム開催のきっかけとなりました。
3月3日の交流会もふまえ、今後の課題として挙げられていることは、1.まちづくりにおけるハード面・十三の駅前再開発、2.中小企業の活性化への政策、3.淀川の自然や文教地区である特性を生かしたまちづくり、についての取り組みです。
それらをふまえて、その方向性を見つけていくような連続学習会、連続フォーラムの開催を地域の方に呼びかけ本日のフォーラム開催に至りました。
ただ私の立場が、民主党の衆議院の公認候補者なので、政党色にしばられず、まちづくりの課題に取り組むフォーラムとするためには、今後フォーラムの運営を本日参加された方を中心とした世話人の方にお願いしたいと思います。
今後、私は場所の提供と講師との調整と、そして私自身の勉強ということに専念をすることにして、このフォーラムを大切にしていくつもりです。
本日のフォーラムでは、ハード面でのまちづくり手法について、土地再開発を主題に区内事例についての報告とともに、民主党・鈴木寛参議院議員に商店街活性化を主題とした講演をいただくこととしました。
事例報告
「三国駅前地区、三国東地区におけるまちづくり事例の報告」
講 演 (ページ トップ へ)
「これからの商店街活性化に向けた政策について」
講師 民主党・鈴木 寛 参議院議員
(抄録)
はじめに (ページ トップ へ)
第一回の十三まちづくりフォーラムの発足に立ち会え、又、お招きいただき本当に嬉しく思っています。
3月3日にカルチェラタンに代表とともに来たご縁がこういう形で花開き本当に嬉しく思います。
ありがとうございました。
まちづくりや商店街活性化は私のライフワークの一つです。
実は政治家になる前、ちょうど慶応大学に移った1999年から原宿表参道けやき会商店街のアドバイザーをしています。
表参道商店街は私の地元でもありますが、なぜ私がこのアドバイザーになったのかというと、私のライフワークとする専門が、英語で言うところのソーシャルプロデュースであるからです。
私は、まちはまさに社会的な生き物であり、学校も社会的生き物、NPOやNGOも新しい社会的生き物と捉えています。
企業も、単に金儲けの機械ということではなく、社会的な生き物だと考えています。
そのような社会的生き物をどのように生み育て、活性化するのかというソーシャルプロデュースの専門ということで、原宿の商店街のアドバイザーを引き受けました。
手前味噌で恐縮ですが、原宿表参道はバブル以降地価がぐんぐん上昇しています。
つい最近のことですが、ルイヴィトンが日本の本店をつくり、ワイドショーなどでも取り上げられました。
この一年間でも表参道商店街の風景が激変しまして、ルイヴィトンやシャネル、アルマーニなど、まさにヨーロッパの最高ブランドが次々に出店して、今原宿表参道商店街はかなり盛り上がってきています。
しかし十年程前の原宿は悲惨であり、瀕死の重傷と言えました。
原宿はご存知のように、新宿と渋谷という巨大な商業地域に囲まれ、JR山手線で新宿−代々木−原宿−渋谷という位置にあり、原宿―渋谷は3分、原宿−代々木−新宿も5分で行くことができます。
渋谷は西武グループの西武百貨店、ロフト、それから東急ハンズがあり、まさに東急と西武の二大資本の大商業地区ですし、新宿は、ご存知のように、まさにデパート競争の状況です。
そのはざまに位置する原宿は、大変に苦戦をしていた時期がありました。
しかし、5年程前あたりからこの原宿を何とかしていこうということで、商店街自体の政変によって、執行部が抜本的に変わり、私も参画することとなりました。
原宿の商店街は、昔は原宿シャンゼリゼ商店街と呼ばれていました。
原宿には、並行する2つの通り、竹下通りと表参道通りがあります。
竹下通りは、昔「たけのこ族」で有名になりましたが、青少年が集まる通りということで、様々な問題を抱えています。
表参道通りは、多くの人々が気にも留めていませんでしたが、明治神宮の表参道なのです。
したがって、新しい商店街の体制では、原宿シャンゼリゼ商店街から、表参道が明治神宮の表参道であるというアイデンティティに変えていこうということになりました。
そして、表参道にあるすばらしいケヤキ並木にちなんで、原宿表参道商店会をけやき会商店会と改名しました。
さらに、これまでJRの線路をはさんで没交渉的であった明治神宮との関係を全部構築し直し、明治神宮と表参道の歴史70年を辿りながらまちづくりが行われています。
商店街の活性化なくして21世紀の日本はない (ページ トップ へ)
話は前後しますが、私が社会的生き物論に到達するまでには様々な紆余曲折がありました。
通産省に入ると、産業政策に取り組みましたが、商業振興に一番深く関わった時期(1989年から90年にかけて)は、日米構造問題協議でアメリカから日本の産業政策について、かなり横槍が入っている時代でした。
1980年代当時、好景気だった日本に対し、アメリカの干渉の最たるものが日米構造問題協議ですが、その中で通産省は大店法をなくせというアメリカの要求を完全に防ぐことはできず、大店法は改正を余儀なくされました。
しかしそれと同時に、「商店街がなくなったら誰がお神輿を担ぐか」というキャッチフレーズで、まちづくりを支援する法律も作られ、私自身も新しい商業政策、まちづくり政策に携わりました。
タウンマネージメントという新しい言葉も作ったのは、その頃です。
その後、山口県庁へ出向(1993〜95年)をしましたが、地方の商店街は本当に悲惨です。
日曜日に町を歩くと午後5時には全部シャッターが閉まっているという状態です。
アーケードを作ってみたり、様々なことを行っていますが、ハードを替えただけでは何も変わりませんでした。
そのように商店街の皆さん一緒に悩んできた経験もあり、「商店街づくり」あるいはそれを起爆剤とした「まちづくり」は本当に難しい問題だと思います。
しかし、やはり地域の顔は、これからも商店街が担っていかなければなりません。
単に商業をしていく、まちを活性化していくという経済的な意味だけでなく、例えば地域の人づくりや、高齢者が安心して住めるまちづくりなどの取り組みと合わせながら、商店街を変えていかなければならないのです。
大変難しい課題ですが、皆さんの知恵を結集して突破しないと、21世紀の日本はないと思っています。
十三のもつ可能性と原宿の事例が示すもの (ページ トップ へ)
さて、十三のことですが、大変ポテンシャルがあるまちだと思います。
10年程前の原宿にかなり似ているところがあります。
地理的なことでいうと、キタとミナミに素通りして通られているわけです。
表参道も地下鉄の要所で、交通の便は良いにもかかわらず、それが生かされていません。
また、先述しましたが、原宿も十三も知名度が高く、おそらく西日本生まれの人ならば十三を知らない人はいないでしょう。
そういう意味でナショナルブランドに近い意味を十三は持っています。
残念ながら、今現在の知名度は良い意味というよりは、悪名に近いかもしれません。
「悪名は無名に勝る」という諺がありますが、知られないよりは悪名であっても知られたほう良いのです。
なぜなら、きちっと方向付けた運動を続ける中で、変化が起これば、悪名は有名に変わるからです。
原宿も10年前までは、へんてこなファッションをして、へんてこなことをしている若者の特別なまちというブランドでした。
およそルイヴィトンやグッチとかアルマーニなどの高級店が出店し、30代、40代のリッチな層が行くところというイメージは全くありませんでした。
リッチな層は銀座に行き、お金のない不良少年不良少女は原宿に行く、というようなブランドだったわけです。
ところが、10年かかりましたが、30代、40代、50代のリッチな層も銀座ではなくて表参道に行くという流れが1年程前からようやく出てきました。
このことから、十三の持つ交通の便の良さや、今は若干悪名になっているかもしれませんが、非常に高い知名度は、とても重要な財産ではないかと思っています。
十三の商店街の活性化は、商業地での地価下落が最も大きい状況でもあり、極めて大変なことであると思いますが、今日こういうフォーラムができたということによって、すべての始まりになると思います。
なぜなら、十三を本当に24時間365日考え続ける方々によるこのような集まりが存在するということが、新しい十三を作り上げていくうえで、何よりも重要だからです。
また、逆に新宿や渋谷、あるいはキタやミナミなど、完全に商業資本が入ってしまったところはなかなか変わりにくいということがあります。
十三の良い点は、まさに地元のオーナーが主役ですので、少なくとも自らの店舗や地域のことについて、自ら決定することができるのです。
例えば渋谷では、自分達では、柵一つ外せないという状況です。
原宿が浮上できたのも、地元のオーナーが商店街の真ん中にいて、しっかりと商店街の活性化についての方針のもとで、外部と協力関係を持ったからです。
このことは時間もかかりますし、バブルの時などは隣の新宿や渋谷が良く見えてしょうがないなどということもありますが、しっかりとした方針を持ちつつ、その方針にこだわりを持って安易に妥協しないこと、付き合うところと付き合わないところをきちっと決めていくことが、新しい原宿ブランド、表参道ブランドを作るうえでとても重要だったのです。
例えば、全盛期のユニクロが出店を申し入れてきたときに表参道商店街はそれを入れませんでした。
金銭的なオファーはユニクロが一番高かったわけですが、けやき商店会は明治神宮の表参道だというコンセプトを大事にしたわけです。
テナントが空いたとき、次に入れる店舗をどうするかといったことについても商店会で議論して決めているのです。
商店会としての方針に沿った取り組み事例として、けやき並木には旗を立てるようになっていますが、その旗のデザインも商店会でチェックをします。明治神宮の表参道という特色に沿いつつ、明治神宮のお祭りの時には、日の丸を立て、昨年の愛子様お誕生にはお祝いの旗を並べ、ワールドカップの時もそれにちなんだ旗を立てました。
また、原宿のまちづくりの特徴として、地元オーナー、地元商店街が中心となりながら、渋谷区行政や、外部のディベロッパー、各種専門家など様々な人々が参画していますが、外からの参画者に対してきちんとグッドパートナーとしての位置づけしていることが挙げられます。私は、まちづくりを社会的生き物ととらえた新しいソーシャルプロディース論の専門家として参画しています。
原宿では環境に優しい新しいライフスタイル(エコライフスタイル)を支援するまち=エコ・アベニュー宣言を出しています。
これは、原宿がファッションの町のみならず、新しい時代における新しい生き方をしたいと思っているクリエーター、ものを売る人、デザインをする人、そしてそれを求めに買いに来る人にエコ・アベニュー宣言というものを出しながら提案し、支援することに取り組んでいることを示すものです。
例えば、東京農大の農業の専門家の先生をアドバイザーにして、エコ・アベニュー宣言をもとに、表参道商店街のレストランから出るごみを千葉県の富津にある農場に全部持っていき、そこで肥料にし、それをもとに栽培した野菜をまた表参道のレストランの食材に使うという取り組みが行われています。
そして、原宿のまちづくりで重要なこととして、明治神宮をもう一度真ん中に据えつつ、地元にある二つの神社や、学校という文教機関、地元の自治会との関係を大切にしていることが挙げられます。
21世紀のまちづくり、商店街づくりというのは、単に経済や産業、ビジネスの問題ではなく、新しい生き方や、新しい価値観、考え方をひっくるめて作り出すということが大切なのです。その時、地元の神社やお寺などの長いスパンの考え方が、ヒントになったり、みんなが原点に立ち返るきっかけとなります。
ビジネスと直接関係ないと思っている人たちの知恵が、商店街の新しいブランドを作るうえで非常に有効になるのです。
前述したルイヴィトンとかアルマーニが丸の内や銀座ではなく表参道に出店した理由は、単なるビジネスを超えた新しい文化を創造していくことに、町全体として挑戦している姿勢が先方に伝わったからです。
十三についても、皆さんが覚悟を決めてわが道を行くということができたなら、相当な可能性があると思います。
直感的には北野高校というのは、とても大事な地域資源ではないでしょうか。
十三にはどのような資源があるのか、ということを皆さんがもう一回点検をして議論を深める場に、この十三まちづくりフォーラムがなれば良いと思います。
産業構造の転換の失敗 (ページ トップ へ)
日本は1980年代までは、ものづくりの国として成長したということは間違いないと思います。
いいものを作って世界に発信し、日本全体の経済力が向上するにつれて、1億2500万の国民が消費を高めていきました。
しかし、現在どうして長期不況に苦しんでいるのでしょうか。
一言でいうと、産業構造の転換ということに失敗している、ということです。1985年の9月にプラザ合意以降、急激な円高基調の中で、日本のモノづくりが国際的な競争力を失っていった時、本来は産業構造の転換を国全体として進めなければなりませんでした。
すなわち、モノづくりだけの国から、サービス経済化ということをどれだけ本気でやるかということに尽きたわけです。
ところが日本の国はこの10年間で、減じた製造業の200万人の製造業の雇用を、サービス産業で賄うべきであったのもかかわらず、建設業で賄うという誤りをしました。
もちろん全ての産業が必要なことは言うまでもありませんが、雇用の重点の観点からすると、農業―建設業、建設業―製造業、製造業―サービス業というように重点が移っていきます。ところが、日本ではサービス産業への移行にもう少し応援することが必要だったわけですが、そこにかけるエネルギーをかけずに公共事業を増やすことによって対応するという大きな政策的な間違いをしたわけです。
私が、通産省にいた時は、日本をサービス産業の国に転換していくために、新しい生活文化を担う中小企業、新しい生活文化を担うベンチャー企業を支援するような政策を立案し、そのために予算要求、や法律改正要求、税制改正要求に取り組みました。
しかし、12月の大蔵省の査定になると、結果としては、公共事業はどんどん増えるわけです。
実はこの10年で、中小企業予算は3分の2になっています。
公共事業は10兆円ですが、中小企業予算は100分の1で1000億円です。日本の税金を納めているのは中小企業の皆さんであるのもかかわらず、公共事業の100分の1しか予算配分されていないのです。
本来、中小企業予算を1兆円くらいにして、公共事業予算を例えば8兆円とか7兆円にしていくという政策が必要だったわけですけれども、それがなかなか未だにできていません。
私は昨年12月、小泉内閣での予算編成に注目しました。
多少は予算配分の構造というものが変わると思ったのですが、全く比率が変わりませんでした。
製造業からサービス業に産業の重点がシフトしていく中で、今後、製造業がどのようになっていくのかということですが、一つは、非常にニッチな分野でトップクラスの技術を持っている中小企業は、その点に特化して勝負していくことにより、生き残っていくことができます。
そして、そのような技術を持たない中小の製造業は、東京や大阪など消費地に近いところで、サービス業支援型の製造業に転換していくことにより、生き残っていく可能性があると思います。
タイミングとオーダーメイド (ページ トップ へ)
さて、これからの新しいサービス業を考える上で重要なことは、サービス経済化、サービスの付加価値ということについてどのように理解するかということです。
それは何かというと、タイミングとカスタマイズです。カスタマイズはオーダーメイドと言い換えてもいいでしょう。
つまり、どれだけ個々のお客さんに対してオーダーメイドのサービスができるのか、そしてベストタイミングのサービスができるのか、ということが、まさにサービス業の価値です。
例えば、背広を作るという時、紳士服のアオキに行けば1万円そこそこで買うことができます。
しかし、極端な話をすると、わがままな王侯貴族がやって来て明日までに背広を作って欲しいと言った時、24時間で、オーダーメイドの洋服を作れたならば150万円とか200万円で買ってくれるわけです。
そこで生地代に10万円や20万円かけたとしても、残りの130万円とか140万円の価値の源泉が何かというと、翌日までに作るという、まさに時間の勝負=タイミングと、それから体にぴったりの洋服=オーダーメイドということです。
このように、タイミングとオーダーメイドに付加価値ができ、量販店にはない点で勝負できるのです。
その付加価値がすなわちサービスであり、今後は商業も工業も製造業においても、サービスという付加価値が必要になってきます。
つまり、自分のやっていることにサービス的な付加価値を強化していくことが、これからの生き残り戦略の非常に重要なポイントになります。
そこで自分達のビジネスにおいて、他店に勝るタイミングとオーダーメイドをどの点においてできるのか、ということを再点検する必要があるでしょう。
日本では納期にきちっと間に合わせて、お客さんのオーダーにきちんどスペックを合わせていくことは当たり前で空気みたいに思われていますが、今後はその点がとても大事であるということを、今一度捉え直し、ちょっとした差が実はものすごい価値になるということを考えていくことが大切です。
ワン・トゥ・ワン・マーケティング (ページ トップ へ)
商店街として集積しているメリットは何かというと、これはビジネスのタイミングとオーダーメイドに関わっています。
これからのビジネスは、タイミングとオーダーメイドがポイントになるということを前述しましたが、徹底的にタイミングとオーダーメイドを突き詰めると、お客さん一人ひとりに応じて全てタイミングと商品の内容を変えることが究極になります。
1対1のマーケティングであるワン・トゥ・ワン・マーケティングが重要になるのです。
ITを使ったマーケティング戦略で、この点が劇的に変わりつつあります。
例えば、ある美容院では、顧客管理をコンピュータ化して、通常4週間ごとぐらいにカットしに来るのを、3週間目に来れば特典を付けるようにすると、お客の来店は増え、売り上げはアップするのではないかと考えました。
その際に重要なのがワン・トゥ・ワンマーケティングです。
顧客別に来店2週間後に、ファックス、電子メール等でその特典を通知します。
そうすると、全員は来店しないとしても何人かは来店します。
4週間を3週間へと全員成功したら33%増ですが、10人1人成功するだけで3%増になるのです。
このことがワン・トゥ・ワン・マーケティングの成果なのです。
そして、3週目になる顧客だけを選んでDMを出すということが、パソコンでの管理によって容易になります。
このようにITによって、一人ひとりの顧客のタイミングにあったワン・トゥ・ワンマーケティングが非常にコストを安くできるようになりました。
では、ワン・トゥ・ワンマーケティング戦略の成功の要因がIT技術の活用だけかというと、それだけではありません。
ワン・トゥ・ワンのビジネスを成功させるためには、やはりコミュニケーションが重要です。そして最大のコミュニケーションとはフェイス・トゥ・フェイスです。
フェイス・トゥ・フェイス=対面販売の説得力というのはコンピュータに勝り、非常に大きなものです。
その対面販売で、いろいろな商品説明や説得ができたり、いろいろ良い印象を持ってもらったりしていることをビジネスにするために、パソコンなど補完的なツールを使った手段が大事になってくるのです。
今急激に量販店がだめになっている一方で、対面販売は若干長期低落傾向ですが、落ち方が少ないです。それは対面でお客さんとの1対1の関係を一つひとつ手作りしているからですが、これからのコミュニケーションビジネスでは、このことを意識的にやるべきだと考えます。
いままでも商店街の方々はそれを行ってきましたが、ほぼつかみかけているお客さんや、いったん量販店に行ってしまったお客さんの動向を、勘だけに頼るのではなく、フェイス・トゥ・フェイスで取り戻していくことが必要です。
しかしそのフォローと顧客管理をどれだけ綿密にやっていくかは、個々の中小企業、商店では難しいことです。
そこで、商店街組合ということで共同している集積のメリットが出てくるのです。
商店街全体でお客をつかむ新たなマーケティング (ページ トップ へ)
これからは、顧客をいかに逃さないかが重要であり、逃がすのなら量販店にではなく、自分の友達のところに逃がすこと、すなわち商店街全体として顧客をつかむことが重要になってきます。
したがって、今までは同業種組合がとても大事でしたが、これからは同顧客組合というものがとても大事になります。
商店街全体でお客をつかむという方針にした時、商店街が絶対やったほうがいいと思うことは、御用聞きサービスとお届けサービスだと思います。
幼児を抱えた家庭や高齢者世帯などに、きめ細かい対応を考えた時、一つの店では一人の顧客の多様なニーズに応えることができませんでした。
しかし、例えば、クリーニング屋さんが、クリーニングを届けるついでに他の注文も聞いてくるようにします。
御用聞きの手法はファックスでもいいし、インターネットや電話でもいいのですが、クリーニングを届ける時についでにその買い物を届けてもらうなど、無駄を削除し複数のお店が協力することで、地域商店を活性化させることができます。
また、一人ひとりのお客さんの購買行動についても、断片情報をレゴのブロックのようにつなぎ合わせて紹介していくことで、自分達の商店街全体でお客をつかむことができます。
例えばカルチェラタンでお茶を飲んでいた時に、「この5件先の八百屋さんで、有機無農薬のトマトを売っているよ。」という情報が入れば、「じゃあそこへいってみようか。」ということになります。
あるいは「あそこのお米屋さんに行ったら自然栽培米が売っていた。」という情報が入れば、「一度買ってみようか。」ということになるのです。
そして、そのトマトや自然栽培米が美味しかったという話がまた夜になってカルチェラタンで行われるのです。
このようなことをどのようにデザインできるのかということがとても重要なのです。
つまり、育児世帯、高齢者世帯、それからもちろんサラリーマンの通常の世帯など、典型的に分けることができるセグメント(ある特定の集団)に応じて、その世帯の生活の全体をその商店街で支援するというコンセプトで一つひとつ綿密にビジネスモデルを作っていき、それを支援していくことが重要になっているのです。
そして、個別の客をキタに取られるのではなく、自分達の商店街仲間で回していくというのが、一番新しいマーケティングの手法なのです。
実際、私は携わったトヨタ自動車の経営革新のプランでは、その自動車の販売価格だけを考えるのではなく、150万円くらいのカローラを買った顧客は、買ってから廃車にするまで、ガソリン代や、車のローン、修理代に総額330万円程使うことに着目し、その330万円を提携する会社の中で顧客に使ってもらうようにするしくみを作りました。
大手トヨタでさえ、ガソリンスタンドや修理工場、信販会社等、違う分野のところが対等にパートナーを組んで一回つかんだ顧客を仲間に渡すという戦略を採っています。
十三商店街でもその手法をぜひ考えてみたらいかがでしょうか。
新しいライフスタイルを提案する (ページ トップ へ)
前項では、これからは商店街全体で一人のお客をつかむことの重要性とそのためのマーケティングについて言及しました。
ここでは次の段階として、新しいライフスタイルを作り上げていくということを商店街として考えていくことの重要性について述べることにします。
例えば十三の商店街の空き店舗に保育所を入れれば、子どもを持った若いお母さんが来て、保育所の帰りに、買い物をして行こうかということになります。
あるいは空き店舗に高齢者のデイケアサービスをつくって、その隣に本屋さんかおもちゃ屋さんがあれば、孫の本や孫のおもちゃを買ってみようかと、こういう話になります。
そのような小さなことの積み重ねが、実は回りまわって大きな流れになるのですが、一人ではできません。
しかし、誰かそういうことをしようとする人がいた場合に、それを応援したり、十三の商店街に良質なお客さんを呼び込むことにプラスになる何か新しいコミュニティビジネス(例えば保育サービスや高齢者サービス関連)をしようとしている人に、空き店舗を安く貸したり、家賃を補助するなど、様々な点で十三での出店メリットのつけることができると思います。
新しいサービス業をしようと考えている人はたくさんいますが、創業資金や、商店街への新参入のことで苦労しています。
そのような人たちを十三の商店街は歓迎していると噂が広がれば、新しいコミュニケーション支援型のサービス業が、十三において増えてきます。
このようなヒューマンサービスを呼び込むようなまちづくりをしてみると、人の流れも変わってきます。
その結果として例えば、介護関係の雑貨を売っているお店は、高齢者サービスと組めば当然そこで介護用品が売れるようになります。
育児用品も同様に、保育サービスと組めば需要が見込めますし、宅配サービスを取り入れるといった形のサービス関連の商業も増やすことができます。
あるいは最近は、健康への関心が高いので、健康な食生活教室といった生涯学習教室や、自然食の料理教室、あるいは健康づくり教室なども考えられますし、実際に東京では今抜群に流行っています。
原宿ではナチュラルハウスという自然食だけを食材で扱っている店があり、トマトなどは市価の3倍くらいの高値ですが、抜群に売れています。
これだけ食の安全が騒がれるようになってくると、付加価値をつけた食材を求める人たちが、わざわざ原宿まで買いにくるのです。
十三も交通の便が良いところなので、同じようなことが起こりうると思います。
私は十三において、様々なことができるのではないかと思います。
その際、大きなムーブメントにするためには、今日お集まりの皆さんが「こういうコンセプトでやろう」ということを決めて実行していくことが重要です。
そうすると、例えば「十三のあの通りは、農薬が少ない野菜を売っている。」といった噂がうわさを呼び、さらにそこにいろいろなこだわり、いろんな物語が物語を生んで、次第にいろいろなブランド力が出てくるのです。
その好循環が始まれば良いお客さんが来るようになります。
そして、皆さんが一緒になって、より商売が繁盛していくというような、いろいろなシナリオを語り合ってください。
本日は原宿の例を取り上げましたが、原宿と同じことを十三にやってくださいとは申しません。
ただ、原宿の運動の中で一つ参考になると思うことは、そこにずっとこれからもとどまって商売をされる方が、いろいろな人の意見を聞きながら、自分達でいろんなシナリオを作っていったということです。
彼らは自分達で物語を作っていき、それを実行しました。
最初はなかなかうまくいかなくても、諦めることなく、一つひとつ実現していきました。
いろいろな物語があるので、アクシデントやトラブルもありますが、それらを乗り越えると、さらにまた物語が面白い物語になり、メッセージ力になっていきました。そのような中で新しいまちづくりが出てきました。その点を皆さんに感じていただきたいと思います。
終わりに (ページ トップ へ)
私は、「十三まちづくりフォーラム」というのができて、皆さんが主体になって物語を語り合っていくということはとてもすばらしいことだと思います。
冒頭で述べたように、私は3月にカルチェラタンというカフェに伺いましたが、カフェというのはいろいろなものを生むのです。
例えば保険、雑誌新聞、政党など全部カフェから生まれました。
イギリス、フランスというのはカフェにいろんな人が集まっていろんな物語を語り合って、そこから新しい時代が生まれました。十三にはすばらしいカフェがありますので、成功間違いなしと思っています。
私もこれから皆さんといろんな形で何でもお手伝いしたいので、今日のご縁を大切にして、皆さんと一緒に新しい十三物語をつくっていく一端に加えていただければありがたいと思います。
《会場からの意見要約》 (ページ トップ へ)
根尾さん
■今まで流行っていなかった原宿表参道の商店街が流行ってきたことには、地元の人たちの熱心さと頑張りがあったのだと伺った。
■大阪でも天神橋商店街が一時廃ってきていたが、住んでいる人たちが奮起して、今大変良くなっている。十三もそうしなければならない。
■十三のイメージは歓楽街だけではなく、歴史的に文化の町で北野高校のある文教地区である。
文教地区としての宣伝に北野高校を利用すべき。
北野高校は、頭のいい人、社会人として地位のある人をたくさん輩出している。
十三の人たちはそういう人たちをまちづくりに使ってはどうか。
堀口さん
■戦後の日本は復興のため、学問ばかりを重視し、文化を横に置いてきてしまい、同じ色の人間を育てている。本来日本人は感性豊かな国民だが、その感性を抑えられてしまった。
そのため白紙の状態から新しいものをちゃんと作っていく人間が育ってこなかった。
私達もなんとか町をきれいにして行儀のいいお客さんを町に呼ぶために美化運動や文化活動をしているが、やはり日本の国全体がうるおってこなければ、街の活性化、そして楽しい声も聞こえてこない。
今後の日本の国の経済の見通しについてもっと詳しく知りたい。
三重野さん
■十三の商店街でEMのお店をやっているが、お店に来るお客さんは豊中や摂津市、高槻市など、神崎川を越えたところの人が多い。
梅田を始点にして淀川を越えた十三ということで考えるのではなく、視点をちょっと北側に変え、神崎川の向こう側との位置関係で考えてみてはどうか。
■神崎川も汚れや汚さでは日本で有数の悪いイメージがあると思うが、それを変えるという爆発力があれば十三は変わるのではないか。
小竹先生
■十三でまちづくりの取り組みについては平成元年から商店街を含めて取り組んでいる。
毎月十三日に神津神社の十三参りのお祭りをするようになり、川柳の会など町を盛り上げる努力もしている。
■十三には、多くの野鳥が棲息する十三干潟というすばらしい自然もある。
■十三を中心とした淀川区の文化資源
新大阪の宇宙めだか水族館、湊川中・小学校で原木の校舎、ボーイングの部品を作るようなたくさんの職人さんの存在、淀川ネーチャークラブの活動 など
《鈴木寛議員のコメント》 (ページ トップ へ)
皆様からのすばらしい意見をありがとうございました。
やはり十三も様々な資源がすでにあるいうことを先程の小竹さんのお話で伺いました。
そのような活動を地道に続けていることと、地域の方が、そういうことを知っていくことが大事だと思いますので、ぜひ今のようなすばらしい活動をどんどん続けていただければありがたいなと思います。
いくつかコメントをということですので申し上げます。
感性・個性を大事にした教育を (ページ トップ へ)
感性教育、感性の人材が必要だと言うことはまったくおっしゃる通りです。
私は実は自分も感性人間だと思っているんです。
私は高二の時に神戸市の一部リーグでサッカー優勝しましたし、大学に入ってからはほとんど学校に行かないで、駒場小劇場を本拠地に演劇活動に没頭していました。
第三舞台の鴻上尚史さんたちと僕らが一緒に下北沢のスズナリ劇場にでたりしていました。
やはりスポーツや文化はとても大事だと思いますし、私も大好きです。
かつ又そういうことを通じてできた友達や経験というのは今の私の原点ですから、感性を大事にした教育を大切にしていきたいです。
実は今私が国会議員として何に打ち込んでいるかというと、とにかく教育改革なんです。
今までの大量生産大量消費で、それぞれの人間が個性を殺して、社会の歯車になるという教育が全ての問題だと思っていますので、そういう意味で今日はワン・トゥ・ワン・マーケティングと言う話をしましたが、ワン・トゥ・ワン・エデュケーションというか、一人一人の個性を大事にして、その人の個性を最大限引き伸ばすようにする。
もちろんしつけもしながら、暗記と反復力ではなくて、「真善美」というものがきちっと判断できて、そしてそれを人とちゃんとコミュニケーションでる教育です。
今、「あ、こいつと一緒に仕事したいな」とか、「こいつと一緒におもろいことしたいな」とか、あるいは「こいつと一緒に住んでみたいな」と言うような人が減っていますよね。
東大も相当問題抱えています。
私は慶応でも教えていました。
今は東大の非常勤講師でゼミをやっていますし、早稲田大学院でも教えていますが、非常に今の学生は問題だと思っています。
そういう意味で、教育改革のほうも頑張って行きたいと思っています。
面白い話がありましてね、日本の若者があかんあかんといいますが、私の周りにいるのはそうでもないんですよ。
特に原宿で僕らと一緒にやっている若者はなかなかいいんですね。
特にどういう若者がいいかというと、まずファッション関係の若者。
それから料理。
あとはヘアデザイナー。
原宿というのは日本一美容室の密度が高いところですが、こういうところで頑張っている若い子というのは本当にすばらしいですよ。
目は輝いているし。
あと、ゲームのクリエーターとか。
それらの若者に共通していることは何かと言うと、大学に彼らのための学科がないということなんです。
そうすると日本の若者がだめなのではないのです。
文部省が中心となって作り上げてきた教育体系を飛び出した人はすごくいいんですよ。
そしてそこに残った人はちょっと目が死んじゃってる。
ということはやっぱり日本の教育政策がだめだったと思って、今私は教育改革をやろうと思っています。
これはなかなか時間のかかる話ですが、早くお父さんお母さんにもそのことを伝えたいと思っているんです。
ガリ勉して機械のようになるということでは、全然本人もハッピーにならないし、世の中も全然ハッピーにしない。
そこで教育改革が大事だと取り組んでいます。
その方面でもぜひご協力をいただきたいと思います。
コミュニティースクール構想 (ページ トップ へ)
まちづくりと教育のつながりでお話すると、私達がやっている政策の中でコミュニティースクール構想というのがあります。
これは今までは文部省が書いたマニュアルを文部省が府の教育委員会に下ろす、府の教育委員会は市の教育委員会に下ろす、市の教育委員会は学校におろすということで、結局上からきていて、学校の先生、現場の先生は子どもの顔を見ていないんですよね。
全部教育委員会の顔を見ているんです。
そして市の教育委員会は府の教育委員会を見ている。
府の教育委員会は文部省。
そうして本当に紋切り型の判でついたようなことをしている。
これをやめようということです。
一言でいうと、その子の顔が見えている、学校の先生はもちろん地域の人、そして保護者といった大人たちが、子どもにとって一番いい学びが何かということを決めてあげられるようにすること。
要するに学習指導要領も大くくりにして、今はこの子にはこれが必要ということを現場の学校で決めていく。
ですから、十三の子には十三の子に必要な教育があると思うんです。
そういうことを今は学校の先生や地域の方が思っても、なかなか自由にできません。
そういう意味で、教育のいろいろな決定権というのを地域、現場にゆだねようじゃないかということです。
イギリスの学校はこういう風になっています。
学校理事会というのがあって、地域の方、保護者の方それから教育委員会から派遣された専門家、学校の先生、校長・教頭というような方が、20名から25名くらいの理事会みたいなものを作ります。
その理事会がこの学校をどうしようかということを決められるようになっているんですね。
日本の全ての小学校中学校がそういう風になるようにしようという手始めに、今年からモデル校が全国で七箇所設置されました。
そして15年末か16年末にコミュニティースクール法案というのが出来ます。
理事会を組織できるという地域はそこに移行していく。
ただ、全国すべてそういう地域ができるかというとなかなか難しいわけです。
しかし十三なんかは、こういうフォーラムがそういう学校づくりに参画し、例えば十三中学校コミュニティースクールにしていただければ、皆さん方が話し合って十三の子どもの教育をできるという法案があと一、二年でできることになっておりますので、またそんなことにもぜひ将来取り組んでいただきたいと思います。
地域性を生かしたブランドへ (ページ トップ へ)
私は環境に配慮した話もしましたが、たとえばEMのことだったら十三だ、といったことは新しいブランドとして非常にいいと思うんです。
だからEMでずっとやっておられる方が、もういらっしゃるわけですからそういう人をもっと巻き込んでやっていただく。
これは非常に有力なシナリオの一つになるんじゃないでしょうか。
それが証拠に神崎川がきれいになれば、自分のまわりだけじゃなくて、町ぐるみ、地域ぐるみで自然環境も大事にしているんだということになりますからこれはまた説得力をましますよね。
東京の例を申しますと、浅草が元気になったのは、あきらかに隅田川がきれいになったからです。
くさい川だったら何もないけれど、隅田川がきれいになれば、河畔でみんな遊ぶようになり、いろんな屋台が出て、いろんな催し物が行われる。
川がきれいになることでそこが憩いの場所、集いの場所になる。
いろんないいことが連鎖反応で起こってくると思います。
十三干潟の話を私も今日始めて勉強しましたが、すばらしい話だと思います。
私は『ボランタリー経済』という本を書いたことがあるんですが、干潟で野鳥を見るとか、EMをするとか、これ自体はNPOでボランタリーの世界、ノンプロフィットの世界です。
しかしその周りにいろんな経済が発生するんです。
たとえばそういう干潟を見に来ると、それに伴う交通運賃は経済になりますね。
それから干潟を見る為に、双眼鏡や、地図、あるいはシューズを買おうか、洋服を買おうかということになって、目指すことはノンプロフィットなんだけど、その周辺に経済が生まれる。
それをボランタリー経済と呼んでいます。
実はこういう経済が急がば回れですが、ものすごく大事じゃないかなと思っています。
そういう意味では、NPO活動をやっていくというのは、いずれは経済的にものすごく繁栄すると思います。
さっき北野高校のことだけ申し上げましたが、この地域にどういう風な学校があるかわかりませんが、そういった学校も大切にしていくと新しい人の流れがおこるんじゃないかなと思っています。
エデュケーション・カルチャー共和国なども本当にすばらしいと思います。
経済政策と景気回復 (ページ トップ へ)
経済見通しについて少しお話したいと思います。
経済を刺激するのは大きく言うと五つです。
一つは輸出です。
それから二つ目は公共事業です。
三つ目以降が大事なんですが、個人消費。それから住宅投資。
それから企業の設備投資。
この五つをどうするかということに経済政策はつきるわけです。
民需と官需といいますが、公共事業は公の官需ですね。
そして民需というのが個人消費、住宅投資、民間企業設備投資なんです。
さらに言うと、企業がお金を使うか、個人世帯がお金を使うかという話です。
個人消費と住宅消費というのはこれは個人です。
家計がお金を使います。
つまりいわゆる家計の消費、家計の投資、と企業の投資が日本の経済の七割を占めます。
ですから日本の経済を復活させようと思ったら、GDPの七割を占める民間需要をどれだけ刺激するかに取り組まない限り、抜本治療策にならないんです。
そういう意味でも官需ばかり刺激している今までの政策は、明らかに間違っているわけです。
しかし残念ながらどうしても地方出身の議員が多く、私なんか東京で76万票いただいたんですが、同じ選挙で、鳥取は13万票で通るという一票の格差があるので、公共事業依存にならざるを得ない。
しかし日本の経済全体考えたら、民需をどう刺激するかということに尽きるんです。
しかし、貿易摩擦の観点もあり、いまさら輸出に頼るというわけにはいきません。
では民需をどういう風に刺激しますか。
答えは、家計消費・投資と、企業設備投資です。
家計消費を増やすには三つのポイントがあります。
単にこれは消費税を減らしたらいいという単純な話ではありません。
家計消費、あるいは家計の投資、住宅投資を増やす為には、三つのことが必要です。
一つは将来の不安をなくすということなんです。
それから二つめは可処分所得を増やす。
それから三つ目は可処分時間を増やすことが大事なんです。
なぜならば、もうモノ経済ではありません。
サービス経済です。そうすると収入が増えるだけではサービス消費に向かわないんですよ。
要するに可処分時間も増えてお財布があったかくなるとサービス消費に向かうわけです。
ですからこの三つを何とか改善する必要がある。
じゃあ将来の不安をなくすにはどうしたらいいかというと、雇用の不安をなくすこと。
年金の不安をなくすこと。
医療介護費の不安をなくすことです。
だから、雇用をこれ以上悪くしないようにする。
それから年金の問題については基礎年金の部分はきちっと受け取れるようにすることです。
医療介護費については、この前の国会で医療費があがってしまいました。ああいうことは経済政策上は本当によくないですね。
あれだけで国民負担が一兆円くらい増えていますから。
それから二つ目の可処分所得の問題ですが、統計を見てみますと、どこの消費が減っているかというと、非常に明らかでして、30代40代50代なんです。
20代と60代はこの十年間あんまり変わらないんです。
つまりかかっているのは結局子育てと親の介護費なんです。
そうすると子育てと親の介護費の負担を減らすことが重要になります。
子育ての部分は一言でいうと奨学金の充実です。
未だに大学に行って親のすねをかじっているのは日本の学生だけです。
まずフランスとドイツが一番充実をしておりまして、学費はもちろん無料。
それから生活費の補助も奨励金ということでもらっています。
だから親は子どもに対して一切お金がかかりません。
イギリスの場合も学費は20万円くらいですが、4割の人が免除されていますから、6割が払う。
それから借り入れですが、学生のかかる費用は全部奨学金という形で対応されるので親は関係ありません。
日本の場合は、親は子どもが中学校くらいになってくるともう、こいつらが大学行ったときにどうしようかという話で、財布の紐がしまっていくわけです。
今私立大学に子ども一人通わせますと、200万くらいかかりますから。
ここが空けば可処分所得がものすごく上がるわけです。
それから将来不安ということでやっぱり介護医療費。高齢者の介護医療費をどうやって下げるかということで、可処分所得をどれだけ増やすかということ。
そうして一番きつい40代50代のところの可処分所得がかなり改善されることが重要です。
そして最後は可処分時間ということで、これは例えば労働時間を見直すとか、あるいは土曜日・日曜日どうするかということですね。
平準化するということがものすごく大事だと思います。
中小企業を支えて、経済再生を (ページ トップ へ)
以上は家計についてですが、企業設備投資の話をします。
大企業は不良債権がありますからもうかっても新しい設備投資は増えません。
そういう意味では不良債権処理はものすごく大事なんですが、大企業の設備投資を増やそうと思ったら、数年はかかりますね。
一方、中小企業も不良債権を抱えていますが、大企業に比べると痛んでいない企業が多いのです。
もちろん痛んでいるところは痛んでいますが、まだ健全なところが残っています。
しかし中小企業の設備投資が伸びません。
なぜかというとこれは日本の中小企業金融制度に問題があります。
問題は何かというと個人保証をとるということです。
個人保証を取るということなので、中小企業の方はもう取れないですね。
ある程度の返済余力、新規事業を立ち上げる能力と気力はあっても、個人保証の観点で、資金調達ができないという問題がありますから、ここははずさなくてはいけない。
それから先ほども言いましたが、公共事業を縮減することによって、現在1500億円ほどの中小企業予算を、例えば民主党が言っている緑のダム構想にすると800億円くらい中小企業予算に回せるんですね。
800億の原資があれば、信用枠を4兆くらい増やせる。
例えば4兆円くらいの追加資金を政府系金融機関ルートで出すことができるんです。
そうすると4兆円の設備投資を中小企業が行うと、10兆円くらいの新規設備投資の波及効果も含めてなりますから、そういう意味では中小企業金融というものを、抜本的に改善する。
それに個人保証に加えて、資産評価の問題を改善すべきです。
大企業は全部上場しているところは株価に会社資産の評価が全て反映しますから、みえない資産も株価という形であらわれるのでちゃんと企業の実態を見て貸せるわけです。
しかし企業資産には、有形資産と無形資産と両方あるんですが、今の金融庁の方針にしたがってしまいますと、中小企業は有形資産しか担保評価できないんです。
しかし、むしろ中小企業の場合はノウハウとか人脈とか信用とか暖簾とか、無形資産の方が多いんですね。
そこで無形資産をもう少し融資判断の際に評価して、個人保証をはずしても金融の健全性をそこなうことなく中小企業に対してまともな設備投資をする。
さらに公共事業の無駄遣いをまわすことによって四兆円の信用枠というものを設ければ、潜在余力のある中小企業に対して資金が回りますから中小企業の設備投資が盛り返していく。
そしてさっき申し上げた民間の設備投資が増えていく。
だから中小企業金融と個人の家計の不安と負担をなくしていく。
ここに注力するということが次の経済再生のシナリオだということでご理解いただきたいと思いますが、残念ながら今までの政権ですと未だに公共事業官需依存型の構造になっているということです。
そういう目でぜひこれからの経済政策や新聞とかをご覧いただくと、よりビビットにご理解いただけるんじゃないかと思っています。
以上です。
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