| 講 師: 天野 礼子 氏 (あまの れいこ) (アウトドアライター) | |
| 1953年京都市生まれ。同志社大学文学部美学専攻。アウトドアライター。「21世紀環境委員会」呼びかけ人。公共事業チェックを求めるNGOの会(460団体)代表。19歳で釣りを始め、全国・世界・湖・海辺を巡り歩く。1988年より、師・開高健らと共に「長良川河口建設に反対する会」を結成。同市民会議代表。
著書: 『あまご便り』(山と渓谷社)/『萬サと長良川』(筑摩書房)/『生きている長良川』(講談社)/『川からの贈り物』(東京書籍)/『21世紀の河川思想』(共同通信)/『川は生きているか』(岩波書店)/『川よ』(NHK出版) など |
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市民フォーラムでは介護保険から少し視点を広げて、「いま面白いテーマ・人」「議論しなければならない課題」で新たにシンポジウムを企画しています。 2回目のテーマは公共事業、講師は「稲見哲男とあゆむ会」の代表でもある天野礼子さんです。
[文責:事務局]
私は大学生だった19歳の時に釣りを覚え、それ以来34歳まで、釣り以外のことは何も考えずに全国の川を歩き回りました。皆さんには悪いですが、選挙にも行ったことがなかったのです【笑い】。
ぺンでは間に合わない
ところが1988年、34歳の時に「長良川」に出会い、初めて「運動」するようになったのです。私の師匠である開高健さんが代表となって長良川河口堰建設に反対する会を作り、私が事務局長になりました。
53の市民団体で「長良川河口堰建設をやめさせる市民会議」を作り私がその代表になりました。昨年は五十嵐さんや宇井さんたちに呼びかけて「21世紀環境委員会」を設立しました。45歳の今、肩書がだいぶ増えています。
私はライターですが、長良川河口堰の反対運動を始めたのは「ペンでは間に合わない」と思ったからです。公共事業をめぐる政官財の癒着が日本中の川にダムを作らせてきたのです。反対運動をするしかないと思いました。
世界は変ってきた
大型公共事業の見直しが世界的に始まっています。アメリカは1994年に「ダムの時代は終った」と宣言しました。理由は環境と経済の2つです。経済でいえば、ダムに使われる財源と人材を福祉などにまわす必要に迫られたのです。また、オランダでは干拓地を干潟に再生することが検討されています。
しかし、日本ではほとんど変っていないどころか、建設省・運輸省・国土庁が一体となる国土交通省をつくるという法律ができています。巨大な開発官庁ができるわけで、利権の集中は必至でしょう。この法律は社民党の賛成で成立するという残念な経過がありました。
川辺川ダムに注目
「社民党にできなかったことが民主党にできるか」のテストケースが熊本県の川辺川(かわべがわ)ダム問題です。建設省は吉野川には多少譲歩する雰囲気がありますが、その代わりに川辺川ダムを強力に推進しています。
この5月、私は菅直人さんに熊本に行ってもらいました。それは、4月の統一自治体選挙で民主党が国民から十分信頼されていないことがよく分かったからです。「民主党は中央ではいいことを言っていても、県レベルになると旧態依然のところが多い。党首が全国を歩くべきだと思ったんです。
しかし、民主党熊本は菅さんが来ることに反対で代表の本田さんが菅さんに「来るな」と電話したんです。この電話の件が地元の新聞にスクープされました。来るなと言われても菅さんは迷わず熊本の集会に行きました。そして開口一番「本田さんの電話の件が新聞にのって会場がいっぱいになった。本田さんはうまく仕掛けたね」【笑い】といいました。
30年以上昔に決めた計画を、そのまま現在すすめる必要はありません。ダムの関連事業で地元を誘導するのではなく、本来の地域振興の方策をちゃんと考えるべきですね。
徳島市民が政治を変える公共事業の長期計画は現在は閣議で決まっています。これを国会で決めようというのが民主党提案の公共事業コントロール法案の主旨です。根回し不足で成立しませんでしたが、継続して追求すべき法案です。国会で決めても同じだと言う人もあります。今の国会(議員)ならその通りです。しかし、次の選挙でそういう議員を落とすことができる。その実例が吉野川第十堰住民投票をめぐる徳島市議会選挙です。建設賛成の公明党も住民投票反対とは言えなかったのです。
「公共事業の財源を福祉にまわす」ことを党是とする党が必要です。民主党はそれを実現するためのプロジェクトチームを作ることを決めました。2001年1月に自民党が政権握っておれば国民には明日はない。北海道の「時のアセス」や神奈川県の財政破綻宣言など自治体の再生が始まろうとしています。しかし、安威川ダムなどの公共事業を大阪府はほとんど見直していません。公共事業見直しの運動を大阪からすすめてほしいと思います。
大阪でも住民投票を
★会場からの質問
@オリンピックをどう考えますか。
A民主党への風が吹いていない中で何を突破口にするのですか。
B国旗・国家法案に対する民主党の対応がよくわからない。
天野: ベイエリア開発の効果は投資に比べて小さいので、オリンピックも同様でしょう。私はタイガースが勝つ方が大阪の経済効果は大きいと思います【笑い】3月14日に99国際ダム反対行動デーの一環として大阪で「公共事業の変換が日本を救う」というパネルディスカッションを行ないましたが、安威川・猪名川・神崎川・槇尾川などで運動しているメンバーが集まりました。お祭りが必要かどうか、大阪でも住民投票をすればいいですね。
稲見: 去年の参院選での民主党の得票には自民党の失政に対する批判票がかなりあって、民主党の実力が伴っていなかったと思います。議員立法やNGO活動を政治に活かすツールも不足しています。民主党は皆さんの意見を聞いて大きくなる政党です。そのためにも、中央でも大阪でも、過去のいきがかりを捨てて民主党の政策を一つにすることが必要だと痛感しています。
天野: 菅さんは「国民の合意で決めるべきこと」「防衛や天皇制などこれまでタブーとされてきたことも民主党政権のもとできちんと議論していく」と言っています。
稲見: 「日の丸・君が代」には個人的には反対ですが、年代によっても地域によっても受け止め方が大きく異なります。国民が納得して決めるべきことだと思います。
| 市民フォーラム 第2回 公共事業 終わりの始まり (1999.06.30) |