今回のフォーラムでは、大阪5区という地域からは大きな問題ですが、民主党「宗教と政治を考える会」、自民党「政教分離を貫く会」など与野党で現政権の本質を巡って議論されているところでもあり、この問題に詳しいジャーナリストの乙骨さんと「宗教と政治」について考えてみたいと思います。なお、今日は、大阪府佛教会会長で学校法人金蘭会理事長でもある増田貞圓さん、新日本宗教団体連合会大阪事務所所長の生田茂夫さんもゲストとしてお招きし、広く宗教者の方々にも参加いただいています。[司会・稲見哲男]
言論の自由を守るため団結を
増田:大阪府佛教会は、臓器移植や延命医療など社会的なテーマに関してシンポジウムを行っており、政治と宗教についても何回か取り上げたのですが、総じて仏教界は保守的で政治に関しては無関心です。檀家や信徒会を通じて政治家と個人的にはお付き合いがありますが、それもほとんどが自民党議員です。
私は早大時代に雄弁会から誘われ、その権力志向が気になり入会を断ったのですが、現在首相や自民党幹事長をはじめ早大雄弁会が政界を牛耳っています。現在の日本社会は何かおかしくなってしまいましたが、肝心の政治が数々の不祥事を引き起こしています。
功罪あるものの戦後確立された民主主義の最も良いところは、言論の自由が保障されていることです。しかし、今日の講師の乙骨さんに対して訴訟も含め様々な圧力が加えられていると聞きます。言論弾圧は断じて許されません。自民党内でも強烈な締め付けがあり、自民党議員は総選挙を前に「ビビっている」という状態です。その結果、自自公政権内でキャスティングボートを握る勢力が大きな力を発揮しているのです。
仏教界をはじめ宗教者も政治に無関心ではダメだと思います。民主主義の破壊に対して立ち上がるべきです。ここに至っては世俗に関わらないという姿勢を改める必要があります。私は、宗派の垣根を越えて団結しなければならない、という強い決意を持っています。
稲見:まず増田さんから、宗教者としての現在の政治状況に対する危惧と決意をお聞きしたところで、今日の講師の乙骨さんからご講演いただきたいと思います。
[文責・市民フォーラム]
なぜ公明党=創価学会は政権に執着するのか
乙骨:先日、大阪府知事と京都市長の選挙があり、私も取材をしました。京都市長選で現職の演説会場では創価学会の三色旗が多数振られていました。これまでも学会は公明党推薦候補を応援していましたが、このような全面的応援は初めてです。それは、今回の首長選挙が自自公政権維持のための「関西冬の陣」、総選挙前の試金石と位置づけられていたからです。世論調査からは「自自公NO」という結果が明確であり、特に自民・自由党支持者の拒絶反応が深刻です。このような中、選挙制度改革の冒頭処理をして国会を大混乱に陥れてまで、政権維持をしているのです。
なぜそうまでするのか。「我日本の柱とならん」という日蓮の言葉があります。元来これは形而上の理念なのですが、池田大作創価学会名誉会長は「日本の柱」を政権獲得という形而下の目的に置き換えました。以後「日本の柱公明党」をスローガンに、マキャベリスティックに行動し、ついに細川政権で入閣を果たして、今「日本の柱」となった、と宣言しました。その後政権崩壊、新進党解党と冬の時代を迎えましたが、自民党の過半数割れでキャスティングボートを握り、地域振興券を実現。政権復帰を果たしました。公明党支持者が自自公を是とするのは、行う政策が問題ではなく、「日本の柱」になる、すなわち政権を獲得するという目的によるものなのです。
政教分離批判に対する徹底した弾圧
学会内部ではどうか。会長は「参議院でキャスティングボートを握ってさえいれば、日本の命運を決するのは学会・公明党」と発言しています。そのネックとなるのが政教分離問題ですが、憲法20条1項後段「いかなる宗教団体も国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」を、政治と宗教ではなく国家と宗教の規定であると都合よく解釈して、批判者を徹底的に弾圧しています。
池田名誉会長は、破門された日蓮正宗のみならず批判者を「悪」と見なし、徹底的に滅ぼせと公言しています。比例で778万(1小選挙区平均2万5千)の学会票をもって、自民党や民主党に脅しをかけています。民主党議員が国立国会図書館から学会批判の本を借りたとたん無言電話の嫌がらせが始まったそうですが、私も尾行されることはしょっちゅうです。このような言論の自由を封殺しようとする動きは大きな問題とすべきです。
多くの地方議会で公明党は与党になっています。勢力拡大の武器と位置づけた「特別ナポレオン展」が各地で巡回していますが、埼玉県では県が主催、県教委が後援しています。これは政治的圧力があったとしか思えません。同展を仏大使館が後援したことは本国でスキャンダルになり、仏政府から大使館に警告文が送られてきたというのに、全国自治体からの感謝状が聖教新聞紙上を賑わしているのです。また、学会は各界の枢要に優秀な師弟を送り込んでいます。池田名誉会長は税関フリーパスで出入国していますが、背後には直系の外務官僚の存在があるのでしょう。そうなら憲法20条に明らかに違反しています。
今こそ信念を貫く政治家が求められる
政教一致を批判していた自民党が、国民の直接の信を問わないまま自自公連立政権を樹立し、公明党と野合しました。そのとたん、学会批判の急先鋒だった大物自民党議員もあっさりと信念を曲げてしまいました。こんな状況が続けば、日本の社会は大変なことになります。今こそ信念を貫く政治家が求められています。民主主義の根幹である言論の自由への弾圧に屈しないかどうかは、政治家としての真価の試金石となると思うのです。
会場から
会場:このような政権のもとで、信教の自由はどうなるのでしょうか。
乙骨:創価学会は公式には他の宗教を攻撃したことはないし、その意図もないと言っています。しかし、いったん自らが批判されるとそれに対して徹底的に弾圧するのです。結局は信教の自由が重大な侵害を受けることになるでしょう。
会場:地域団体でも学会員が幅を利かしています。やはり、バラまき政策が低所得層の心をつかむのでしょうか。政党の日常努力で市民の関心を高めることが必要だと思います。
乙骨:バラまきは政権維持の手段にしかすぎません。しかし、市民の無関心に対しては、学会の問題が主要メディアでほとんど報道されないため、大きな努力が必要でしょう。
稲見:最後になりましたが、生田さんからもご意見をいただきたいと思います。
生田:新宗教諸宗派の団体である私たちも、この問題に対して大きな危惧を持っています。自民党の変節も問題ですが、盗聴法や国旗国歌法などが論戦もなしに国会を通過していく状況をみると、やはり国民の皆さんが政治に無関心にならず、政治に積極的に参加していただきたいと思います。
稲見:今日は正直言って、大変重い気持ちになった方も多いのではないでしょうか。しかし、日常的には関心の薄い、宗教と政治や言論の自由という民主主義の根幹に関わる問題を考えるきっかけになればと思います。