| 耐震強度勉強会の復習 (2006/02/04) | ||
2月1日の午後に参加した「耐震強度偽装事件」に関わる勉強会の資料を読み返す。講師は元設計事務所の構造担当部長で現在は民間の指定確認検査機関で実際に建築確認申請に携わっておられる方だ。 素人の私だから専門用語では分からないところが多かったが、『構造設計の現状と問題』については興味深いお話だった。 まず構造設計の実情として、計算尺とそろばんの手作業からコンピュータの進歩によってブラックボックス化が進んだ。 建築物は使い勝手や快適さの機能=「用」、構造安全性=「強」、デザイン=「美」、経済性=「経」のバランスが大切で、重要性は「用」−「強」−「美」−「経」の順とされてきたが、悪い組み合わせとして「経」−「美」−「用」−「強」と経済的でデザインのみの追求が強くなっている。 構造設計者は専門性が高く人数も少ない上に、意匠系の下請け関係の立場が多い。また、実施設計時のみ計算ソフトのインプット屋でしかなく計画・監理にタッチしていない。したくても出来ないなどの問題点が指摘されていた。 次に民間検査機関について、現在123社(国交大臣指定17社・地方整備局指定33社・知事指定73社)あるが、構造担当者は総数で463人、これに対して04年度の許可件数は438,249件だから一人当たり年間947件、一日・一人当たり3.9件になってしまう。構造設計をチェックする専門家の不足に驚いてしまう。 構造設計とは、構造物に働く常時・非常時の外力に対して骨組形式、使用材料などの適切な選択によって建物の居住性と安全性の確認を行う作業と説明された。 特に地震国日本では地震荷重が圧倒的にウェートが大きい。しかし、地震という外力には現在でも未知の事項も多く、過去の被害より推定して耐震設計の目標を定めている。1891年の濃尾地震(M8.0)以来、大きな地震を経験するたびに耐震設計法が変遷してきた。つまりは極めて稀に発生する大地震に100%安全な基準は存在しない。「大破・倒壊せず」が目安なのだ。 一方で構造設計者はコンピュータソフトの発達、建築基準法や設計指針の複雑化、構造設計の細分化、現場監理の不足、現場のベテランからの教育機会の減少など、『道具が進んで、トータルに見れる人材が減少』しているという。 最後は、講師が指摘しているように、職能の自覚と理解を深める立場の強化、能力アップの技術教育の向上、経験豊富な第三者チェック機能と権限の強化、つまりは人間の能力に負うところが大だと感じざるを得なかった。 いただいた資料の中に米国におけるスペシャル・インスペクター制度が説明されていた。施主が直接雇用し、コンクリート強度の管理、鉄骨の溶接、高力ボルト締め付けなどを設計図に則ってインスペクション(検証)する。 (社)日本建築構造技術者協会が一級建築士登録後4年の構造設計・構造監理の実務経験を要件に『建築構造士』の認定試験を行い、約2530人が登録されているという。構造設計と監理の専門家を国の資格として位置づけ、ゼネコンや意匠系設計者からの独立性と権限を担保しないといけないのではないかと強く感じた。 |
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