| 年金不正手続きに思う (2006/05/30) | ||
今日の朝刊によると、年金保険料免除申請についての不適正な手続きは26都府県11万3975件に上り、そのうち本人の了解を得ずに免除したケースは10都府県約8万件であることが明らかになった。改めて国民年金制度の内容と問題の背景・本質について考えてみることにする。 ★国民年金のあらまし 国民年金は20歳から60歳まで40年間480ヶ月保険料を納め65歳から死ぬまで年金を受け取る制度です。途中で本人が重度の障害になった時に障害基礎年金(1級約99万円)、本人が死亡し残された家族に遺族基礎年金(妻に約79万円+子ども一人に約23万円加算)などの制度もあります。 現在の満額が792100円ですから逆算(÷480月)すると1ヶ月の保険料13860円(毎年280円引き上げ、2017年に17220円)が1650円の年金になり、約10年で「元が取れる」ことになります。しかし、最低25年間300ヶ月の納付がないと(通算15年間180ヶ月の未納・未加入があると)一切年金を受け取る権利がありません。このため免除や納付猶予制度があります。 ★免除・学生納付特例・若年者納付猶予制度について 免除は全額と一部納付(1/4、半額、3/4)があり、それぞれ将来の年金額が変わります。1か月分の保険料を支払えば1650円になる年金が、全額免除であれば国庫負担の1/3のみ(550円)、1/4納付であれば1/3+2/3×1/4=1/2(825円)、半額納付であれば1/3+2/3×1/2=2/3(1100円)、3/4納付であれば1/3+2/3×3/4=5/6(1375円)につながる訳です。 学生納付特例・若年者納付猶予では年金加入期間に通算されますが年金額には反映しません。10年さかのぼって収めることが出来るだけです。このように、本来これらの制度は低所得で納付困難な人達への救済制度としてあるわけです。 今回の収納率アップのために分母を減らすという、いわば偽装とも言うべき組織的な不正行為と、利用された免除制度を冷静に見ておくべきです。結果的には勝手に免除や納付猶予されたからといって一人一人の被保険者に実害が無いことは押さえておくべきだと考えます。 ★何故「収納率」は大幅にダウンしたのか 第1には制度への信頼性が失われていることです。若年者を中心に『高い保険料を支払っても将来受け取れるかどうかわからない』との声が蔓延しています。14年間連続で保険料を値上げし、にもかかわらず「マクロ経済スライド」などと言って年金の水準を引き下げていくことへの国民の不信は払拭されていないのです。 第2に国民年金加入者の昨今の傾向にあります。「二極化・格差拡大」のなかで、厚生年金から排除されているのはどんな人達でしょうか。年収300万円以下、あるいは200万円以下のパート・アルバイト・派遣労働者などで収納率のダウンはこれらの層に集中しています。 第3に、分権に逆行する年金事務の国への移管が行われました。合併によって市町村数が減ったといえ2000近い市町村で行われていた年金の窓口事務が全国312の社会保険事務所でしか行われていません。国民健康保険とともにあった徴収体制が日常的に無くなった事も収納率ダウンに拍車をかけています。 制度や体制に欠陥があって必然的に収納率がダウンしているのに民間出身の社会保険庁長官の「収納率アップ」の大号令で今回の不正が起こったと見るべきです。 ★年金制度抜本改革をもう一度議論すべき 先ほどの年金のあらましと免除制度で見てきたように、40年間保険料を完納しても年額79万2100円、40年間全額免除では年額26万4000円の年金額です。生活保護費以下で十分な老後の生活保障といえるでしょうか。 民主党が主張し続けているスウェーデン方式の生活保障年金(全額税方式、一人月額7万円程度)と所得比例年金への一元化が抜本改革につながるのです。 |
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