水俣病の提言      (2006/09/29)
  

 午前中は東京から送っていただいた「『水俣病問題に係る懇談会』提言書」を読み進める。座長は有馬朗人元文部大臣で、水俣病認定基準の変更について環境省と激論が続き提言をまとめることも困難な時期があったと聞いていたので、興味深く一気に読んだ。

水俣病の発生から今日までの50年間を被害者の家族の証言なども引用してつぶさに検証し、被害を拡大させた行政(国や熊本県)の「不作為」責任を厳しく批判した上で、「『いのちの安全』の危機管理体制を」、「被害者の苦しみを償う制度を」、「『環境・福祉先進モデル地域』の構築を」、「水俣病の総合的な調査研究と『水俣病・環境科学センター』の設立を」など様々な提言を行っている。

そして、提言の実現を含め、原点として持つべき行政姿勢として「2.5人称の視点」を強調している。

それは、「公的な立場の専門的職業人が、あくまで冷静な『3人称の視点』を失わないようにしつつ、事件の当事者である被害者(1人称)や家族(2人称)の視点も合わせもつこと(《これが自分の親や連れ合いや子どもだったら、どんな気持ちでいるだろうか、今一番求められていることは何だろうか》という視点)」と説明されている。

「国民のいのちを守る視点を行政施策の中で優先事項とすることを行政官に義務づける新しい『行政倫理』を作り、その遵守を、各種関係法規の中で明らかにすること。特に苦しむ被害者や社会的弱者のいる事案に関しては、行政官は『行動倫理』の実践として、『乾いた3人称の視点』ではなく、『潤いのある2.5人称の視点』を持って対処すべきこと」など、随所で強調されている。

しかし、果たしてこの提言が安倍政権と現在の環境省において真摯に受け止められ、すべての水俣病被害者の救済につながるのだろうか。何度にもわたる環境省との話し合いを経験した私にはきわめて疑問だ。熊本の松野さんが取りまとめ、今、民主党の環境部門会議に引き継がれている民主党の「特別法」とも極めて近いこの提言を現実のものにするのは民主党政権においてしかないのではないだろうか。


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 い な み の ひ と こ と