「集団的自衛権」 について     (2007/04/26)
  

集団的自衛権の行使について、政府は「個別事例研究の有識者会議」設置を、自民党は「特命委員会」の設置を明らかにしました。

「国民投票法案」の強行とともに、参議院選挙において憲法改正を争点にしょうとする安倍内閣の考え方が色濃く出ています。「集団的自衛権行使」の危険性について、今一度私の考え方をまとめておきます。

まず、「集団的自衛権」と国連中心の「集団的安全保障」は全く違う概念です。

まず、国連憲章と日本国憲法の関連について述べます。日本は戦前の侵略と植民地主義、先の大戦への反省から、憲法の前文と9条で平和主義、戦争放棄と戦力の不保持を謳っています。これは、1945年6月26日調印された国連憲章とも共通の理念を有しています。

国連憲章では前文で「寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則」に掲げています。

日本国憲法の前文「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とコインの裏表の関係にあるのです。

また、憲章の第1条(目的)の冒頭で「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的な紛争又は事態の調整または解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること 」としています。

具体的には、「第6章 紛争の平和的解決」のために、平和的手段による解決の要請、安保理や総会による調査、注意、勧告などを第33条〜第38条で規定しているのです。

そして、「第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」においても、第39条(国際の平和及び安全を維持し又は回復するための勧告)、第40条(事態の悪化を防ぐための暫定措置)、第41条(兵力の使用を伴わない措置)を規定し、どうしても平和的解決が困難な場合に限って、第42条で「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。」としているのです。

さらに「自衛権」に関して、第51条で「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」としています。

憲法9条の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」という決意は国連憲章の「集団的安全保障」を前提にしているのです。

したがって、少なくとも自衛隊の活動は、憲章51条の「国連安保理が必要な措置をとるまでの間」の自国の安全を守る専守防衛がぎりぎりの範囲なのは明白です。もともと海外での自衛隊の活動を想定していないのですから。

しかし、東西冷戦の終焉以降、民族や宗教対立による紛争や人権侵害が多発して国際貢献活動が要請され、賛否は別として『PKO協力法』『テロ対策特措法』『イラク特措法』などが成立し、自衛隊の海外派遣が「通常業務」に格上げされてきました。しかし、国連の平和維持活動(停戦合意後の警察活動・選挙監視など)、インド洋における多国籍軍への燃料補給、武器・弾薬・兵員輸送を除く食糧などの後方支援、“非戦闘地域”での人道復興支援など名目上制限がついています。

このような中で、改めて「集団的自衛権」が注目されてきた背景をきっちり抑えておく必要があります。集団的自衛権とは他国への攻撃あるいは脅威を自国へのものと捉えて共同して対処・反撃することです。

海外では“専守防衛”の理屈は通用しませんから、正当防衛以外は憲法で禁止された「国権の発動たる武力行使」になり、他国と共同すれば「集団的自衛権の行使」になります。人道復興支援であろうと後方支援であろうと同様です。

特にアフガン侵攻やイラク戦争はアメリカの単独行動主義による戦争ですから、この歯止めを無くすことはアメリカの戦争(テロとの戦い=アメリカの安全のための戦争)に日本が参戦することになるのです。前文の平和主義と9条改憲へのつなぎとして解釈改憲が極められようとしているのです。

私は、専守防衛に徹して集団的自衛権の行使を行わない。憲法については9条1項のみならず、2項の改正も必要なしとの立場です。

すると、国際貢献活動にどう対処するのかとの批判があると思います。私は、国際貢献活動について国連憲章第24条に基づく安保理、平和維持活動局の要請する活動に限定する(現在平和維持活動局の指揮・支援のもと展開中の活動 18件、従事要員総数 101,682名、 派遣国 114カ国)。

自衛隊と別組織の「国連待機部隊」(小沢・横路合意)を創設し、「国権の発動たる武力行使」としない。日本の活動内容・限度、参加の可否などについて安全保障基本法を策定し、9条については改憲しない を基本的な考え方にしています。



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