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018  衆議院 法務委員会
 
第162回第22号  2005.06.10  「刑法等の一部を改正する法律案」について




第22号 平成17年6月10日(金曜日)

平成十七年六月十日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 塩崎 恭久君
   理事 田村 憲久君 理事 平沢 勝栄君
   理事 三原 朝彦君 理事 吉野 正芳君
   理事 津川 祥吾君 理事 伴野  豊君
   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君
      秋葉 賢也君    井上 信治君
      小野 晋也君    大前 繁雄君
      左藤  章君    笹川  堯君
      柴山 昌彦君    園田 博之君
      谷  公一君    松島みどり君
      水野 賢一君    宮下 一郎君
      森山 眞弓君    保岡 興治君
      柳本 卓治君    井上 和雄君
      
稲見 哲男君    加藤 公一君
      河村たかし君    小林千代美君
      佐々木秀典君    樽井 良和君
      藤田 一枝君    松野 信夫君
      松本 大輔君    江田 康幸君
      富田 茂之君
    …………………………………
   法務大臣         南野知惠子君
   法務副大臣        滝   実君
   法務大臣政務官      富田 茂之君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  鈴木 基久君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君
   政府参考人
   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    大林  宏君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君
   政府参考人
   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君
   参考人
   (慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)教授)            井田  良君
   参考人
   (日本弁護士連合会副会長)            出口 治男君
   参考人
   (日本キリスト教婦人矯風会 女性の家HELP ディレクター)       大津 恵子君
   参考人
   (アジア財団日本事務所人身売買問題担当)     玉井 桂子君
   法務委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)


     ――――◇―――――


    午後一時三十四分開議

○塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
稲見哲男君

○稲見委員 民主党の稲見哲男でございます。
 出入国管理及び難民認定法の一部改正について御質問いたします。
 まず、午前中もありましたが、人身売買の被害者と認定されたときの在留許可の問題であります。既に参議院の審議で、「手続上も、事実上収容をしない形で手続を進める」、こういうふうに答弁がありますが、具体的にはどういうことなのか。その点、まずお聞きをしたいと思います。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 人身取引の被害者の方に関しまして不法滞在状態にある場合につきまして、入管法上、退去強制手続につきましては、まず入国警備官が容疑者を収容令書というものによりまして収容いたしまして、その後、入国審査官にその身柄を引き渡した上で入国審査官が違反審査を行うというふうな手続になっております。したがいまして、退去強制手続を行う際には必ず収容するということになっております。
 しかしながら、当初から人身取引の被害者であることが明らかであるような方につきましては、退去強制手続をとるに際しまして、形式的には収容令書を発付いたしましてこれを執行いたしますけれども、同時に仮放免の許可を発出いたしまして、事実上身柄を拘束しない形で手続を進めるということを考えておるわけでございまして、このことを参議院でも御答弁申し上げたところでございます。
    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

○稲見委員 今回の改正の中で、上陸拒否事由からの除外というのが、この被害者の場合、第五条第一項七号で規定をされていると思うんですね。そういうことでいいますと、なぜ退去強制手続を前提にしなければならないのか、この根拠は何かということをぜひお答えいただきたいと思います。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 上陸拒否事由に関しましては、これから我が国に上陸しようとする方について拒否をするということでございますが、退去強制手続に関しましては、既に我が国に在留している方について問題が生じた場合、こういう立て分けになるわけでございますけれども、人身取引の被害者の方が不法滞在状態になっているときには、先ほども申し上げましたが、退去強制手続をとった上で在留特別許可により保護を図るということになるわけであります。
 これは、入管法上、在留特別許可につきましては、退去強制手続が進められまして、その最終段階になりまして、退去強制事由があるということが確認された後、それでもなお特別に我が国に在留を認めるべき事情があるという場合に初めて在留特別許可が付与される、こういう法律の手続になっております。したがいまして、退去強制手続を前提としなければならない、こういうことになるわけでございます。
 なお、今回御審議いただいております改正法案におきましては、被害者が不法滞在となっている場合に退去強制の対象から除外することはしておりません。これは今の御説明とも関連いたしますけれども、不法滞在者につきまして退去強制事由に該当しないということにいたしますと、およそ在留資格を持たない者が退去強制の対象にもならず、したがって在留特別許可も付与されないということになりまして、在留資格を持たないまま本邦に事実上滞在し続けるという状態を生むことになりますので、このような退去強制の対象から除外することはしないということにしておるわけでございます。

○稲見委員 これは国際的にも、議定書ができた上で、こういう希望する場合は在留資格を与えるということから出発していると思うんですね。そうすると、今局長が言われたようにしゃくし定規に、オーバーステイになっている、あるいは不法入国をしているから、それは違反審査のところから出発しなければならないんだというのは、やはりちょっとおかしいと思うんですね。
 例えば、病気なり負傷で入院している、本人が出頭できない、その間に在留資格が切れる、こういう場合は何か救済措置というのはあるんですか。

○三浦政府参考人 委員御指摘のような例につきましては、今の取り扱いといたしまして、疾病その他の事由によりみずから出頭できない場合には、当該外国人の方の親族ですとか同居している方といった方の中から地方入国管理局長がこの方は適当であると認める人が、本人にかわって在留期間の更新の申請書等の提出ができるということになっております。
 また、仮にこういう方がいないということで在留期間を経過、出てしまったというようなケースにつきましては、いろいろ無理からぬ事情等があるような場合につきましてですが、当初から在留期間中に申請を出していれば当然許可が確実に認められただろうというようなケースについて、なおかつ災害ですとか疾病とかそういった事故等のためにその期間内に申請ができなかったという事情があるようなケースにつきましては、申請を受理する扱いを現在でもしております。
 以上であります。

○稲見委員 そうでしょう。そういうことは運転免許証なんかでもあるわけですよ。
 この場合、私が申し上げたいのは、被害者の方、それはパスポートも取り上げられて、どこかに強制的に住まわされているということが前提ですよね。そうすると、そこから逃げてきた、そして被害者として申し立てを行い、認定をしていくということは、例えばオーバーステイになっていても、本人が大体それまでに来れないということじゃないですか。そういうことを国際的にどう保護していくのかというときに、その退去強制手続、違反審査から物事を出発しなければならないということにはならない。
 そういう意味では、運用上、被害者認定を先行させる、そして、その上で在留特別許可を与える、こういうのは、今おっしゃった救済措置というようなことを含めて、運用上可能だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の趣旨は、なるべく空白期間がないような形で、早く安定した資格を付与する必要があるという御指摘であろうというふうに理解しております。(稲見委員「退去強制手続がおかしいと言っているんだ」と呼ぶ)
 退去強制手続につきましては、先ほど来ちょっと御説明したとおりでございまして、要は、退去強制手続を速やかに行って、短時間で在留特別許可を付与するということが現行の制度のもとで一つとり得る考え方だろうと思っております。私どももその方向で鋭意努力をしておるところでございます。

○稲見委員 この場ですぐ例外規定をつくるということにならないかもしれませんが、問題は、国際的な要請も受けて、とりわけ被害者については保護をしよう、そしてその場合、本人が希望するのならば日本に住めるようにしようということから出発しているわけで、法務省のように、その人がその段階でオーバーステイあるいは不法な滞在になっているから、違反審査、退去強制手続をしてから被害者の認定をする、これはやはり建前としておかしいと思うんですよ。
 法律をここで変えるんだから、まず保護するんだ、保護をする人を認定するんだということで、例えば退去強制の手続を保留しておくとか、あるいは先ほど言ったように、やむを得ない事情という形で、そのことについては申請を受けたような形で、そして改めて在留資格を与える、あるいは在留特別許可を与えるという形にした方が、これは国際的にも、きっちり被害者を保護しているという法律上の建前になるんじゃないかというふうに思いますので、その点はぜひ御検討いただきたいと思います。
 それから次に、運送業者等に対する旅券の確認義務を課するという条項であります。
 入管難民法改正については、特にテロ対策、外国人の取り締まりという名目での取り締まりの強化を主目的にしているように見受けられます。参議院の質疑の中でも、この入管難民法改正の部分の効果についてきちんと答弁がなされていないという点がありますので、もう一度明確な御説明をお願いしたいと思います。

○南野国務大臣 お答え申し上げます。
 運送業者によりますカウンターでの搭乗手続の際や、また外国に向けての出入国管理当局における出国審査時には有効な旅券等を使用し出国審査を受けた後に、空港のトランジットエリアというのがございますよね、あそこにおきまして、偽変造のそういった旅券を、偽造した旅券を渡す、受け取る、そういうような収受が行われるような場合、そのために、偽造旅券等によりまして航空機に乗り込もうとする事案が多発している。
 そういう新たな形といいましょうか、そういうものに対して、今回の改正によりましても、航空機等の搭乗口において運送業者に旅券等の確認を行っていただくというようなことを義務づけていこう、それにより、一層確実に不法な事犯を防止することができるんじゃないかなということが我々考えているところでございます。

○稲見委員 ちょっと参議院のときの答えと違って、少し追加がされているんですが、別の観点でお聞きします。
 現行法において、入国審査の段階で入国を拒否して本国へ送還する場合、これは多くあると思うんですね、そういうときは、戻っていくときの航空運賃はだれが負担をしているのか。
 あわせて、退去強制の場合、法務省の係員が送還先までついていくということがありますけれども、その場合に、その退去強制者の航空運賃はだれが負担をしているのか。
 また、帰国希望の申し出、いわゆる自首によって退去強制令書を発付する、しかし、先ほどあったように、即日仮放免をして、帰国準備をして帰国をしていく、こういう場合は航空運賃はだれが負担をしているのか。この点をお聞きしたいと思います。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 三点御質問があったかと思いますが、最初の、一点目の御質問は入国の拒否の事例でございまして、後の二つが退去強制の事例だと思います。
 入国拒否をされた方につきましては、これは入管法の五十九条一項という、ここに規定がございまして、我が国の空港のブースから、国内に入れないものですから、そのまま帰っていただくわけでございますが、その場合には、その方が乗ってきた航空会社の責任と費用により送還をすることになっております。
 それから二点目でございますが、退去強制の場合の航空運賃はだれが支払うのかということでございます。
 これも入管法に規定がございまして、五十二条の第三項に基づきます国費による送還というものがございますが、同じ五十二条の四項には、被退去強制者のみずからの負担で退去する、いわゆる自費出国という場合がございます。また、入管法の五十九条、先ほどちょっと申し上げましたが、運送業者がその責任と費用で送還する場合、この三つの場合がございます。ほとんどというか、九割以上が自費出国でありまして、みずからの帰国の費用がどうしても捻出できないという方につきましては国費でチケットを買うという形をとっております。
 それから、入管の職員が一緒に飛行機へ乗っていくというケースでございますが、このケースは、本人が送還をかなりかたくなに拒否しているというようなケースですね、入管職員が付き添っていかないとその飛行機の他の乗客等に迷惑がかかるというような可能性もあるようなケースについて、一緒についていっております。もちろんこれは、職員は出張で行くわけでございますが、本人は、そういう場合、普通は自分でチケットを買いませんので、国費ということが多いと思います。

○稲見委員 それでは、今回の改正で、確認義務と罰則規定との関係で、民間運送業者にミスがあって入国した者、これを本国に送還する場合、これは、今出された中でどれに当たっていくんでしょうか。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 仮に委員御指摘のような、航空会社の方が搭乗口で見損なったといいますか、それで偽造旅券の者が入ってきたというようなことでありまして、こういう人について、本人がそのまま不法に入国したというケースになるわけでございますので、仮に空港の入国のブースから国内に入らなくても、既に我が国の領空に入った段階で不法入国ということになりますから、退去強制の対象になりまして、その手続がとられるわけでございます。
 その場合の送還につきましては、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、国費か運送業者の負担か、もしくは自分のお金で帰る、この三つの選択肢があるわけでございます。その場合、我々としてもできるだけ、本人がお金を持っている場合には自費で帰るようにということを説得しておるわけでございますが、どうしてもお金の工面ができないというような場合には、国費送還ということで、こういうケースも措置をしているということでございます。
 先ほど御質問のような、出発時点で旅券等の確認を航空会社が怠ったというような場合でございましても、不法入国者が本邦に上陸するときに、運送業者がその者について不法入国の事実があるということを明らかに知っていたと認められるようなときには、先ほど申し上げました入管法の五十九条の規定によりまして、この不法入国者の送還費用を運送業者に負担させることができるということになっております。

○稲見委員 ちょっとよくわからないんですが、現行法でも、日本内に入らない場合は航空会社と先ほどおっしゃった。今度は、法が改正され、確認義務もある、罰則規定もある、しかし、その場合は三通り、国費と自費と航空会社、そのどれでもありだ、そういうことでいいんですか。

○三浦政府参考人 先ほど御説明したとおりでございまして、仮にその航空会社の方がミスがあったということで、我が国に入国した以上、本人は不法入国ということで退去強制の対象になりますので、その退去強制者の帰国の費用をどう扱うかという範疇で考えることになると思います。

○稲見委員 つまらぬことを聞いたのは、今でも航空会社の負担で帰しているということがあり、改めて航空会社の確認義務が生じるということになれば、その分についてはすべて航空会社になるんじゃないかというふうな疑問を持ったんですよ。事実、質問取りのときにはそういうふうなお話でした。したがって、この運送業者に対する確認義務というのは、非常に矮小な言い方をすると、そんなお金のところに意味があるのかなというようなことも思ったものですから御質問いたしました。退去強制という形で、すべて、三つの負担の方法があるということで、これは確認をしておきたいというふうに思います。
 しかしながら、参議院では、先ほど法務大臣おっしゃいましたけれども、出国に当たってはそれぞれの入国管理担当の公務員が行う、したがって、航空機に搭乗する前段階で発見される確率の方が高くて、特段、このことが改正をされても、従前と異なった形になるものではないという御答弁だったわけですね。そうすると、なぜ特段変わらない、意味もないことを民間業者に押しつけていくのかという点が改めて疑問になったわけです。その点、南野大臣、先ほどの御答弁がありましたけれども、参議院のときの特段変わったことはないという政府側の御答弁との関係はどうですか。

○南野国務大臣 現在でも、運送業者は運送約款に基づいて旅券等の確認を行い、偽造旅券等を発見した場合には搭乗拒否をしているところでございますけれども、確認の方法等については必ずしも統一されているものではない。今回の改正では、近年多発しております、出国審査後、空港のトランジットエリアにおいて、これは先ほど申しましたことですが、偽造旅券等を収受し、その偽造旅券等によりまして航空機に乗り込もうとする事案に対応できるように、航空機等の搭乗口で、運送業者に対して、旅券等の確認をしてもらおうとしております。そのために指針を作成しまして、確認方法、程度を明確にすることといたしております。
 今回の入管法の改正におきます運送業者による旅券等の確認、それは一般的な運送業者の職員であればそれほど難しいことではない、当該旅券等が有効であるのか否か、また、真正なものであるのか否かということについては判断していただけるものであろうと思っておりますので、現在行われておる旅券等の確認に比べて大きな御負担をおかけするというものでもないというようなことを我々は考えており、このような義務を運送業者にお願いするということをいたしたわけでございます。

○稲見委員 私も何度も外国へ行っていますが、出国審査があった後というのは、もうチケットだけを持って搭乗口に行っているんですよね。そこで改めて旅券を航空会社の係員が見るということは現実的にはないと思います。しかしながら、ちょっと次の時間がありませんので、その点はまた置いておきたいと思います。
 このことと難民認定申請者との関係ですが、真正な旅券を所持し入国をした難民、あるいは難民認定申請者、こういう者がどのぐらいの割合でおられるのか。また、インドシナ難民の場合は、そういうことはなかったと思うんですが、どういうふうな対応だったのか、その点をお聞きしたいと思います。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十六年の統計でございますが、難民認定の申請をした方が、入国時において真正な旅券及び査証を、これは査証は必要な場合でございますが、所持して適法に我が国に入国したという割合は約九割となっております。このように、難民認定申請を行った方の大半は真正な旅券を持って本邦に入国しているという実情でございます。
 それからインドシナ難民についてのお尋ねでございますけれども、いわゆるボートピープルとして旅券を所持しないで我が国に到着したインドシナ難民につきまして、昭和五十年当時は出入国管理令に基づきます上陸特別許可という形で上陸を認めておったわけであります。また昭和五十七年にこの管理令が現行の入管難民法に改正された後におきましては、新たに設けられました一時庇護のための上陸の許可などの制度を用いて上陸を認めていたわけでございます。その後、このような取り扱いを悪用するような人が大分ふえまして、インドシナ難民を装ったいわゆる偽装難民というような入国が増加したことから、平成六年の三月四日付で閣議了解がなされまして、いわゆるボートピープルへの対策についてというものでございますが、従来の取り扱いを改めまして、有効な旅券を所持していない者については不法入国者として取り扱う、本人から難民である旨の申請があった場合には難民認定手続を開始するということとして現在に至っております。
    〔平沢委員長代理退席、吉野委員長代理着席〕

○稲見委員 九割という非常に高い率のようですが、インドシナ難民の現在の扱いも含めますと、つまり出国時にこの確認申請がありますと、難民の方がとどめられてこちらに来れない。現在の扱いも、それからあと一割と言われている真正な旅券を持っていない方、これはきっちりやれば難民として真正に日本に入国できない、こういうことになると思いますが、いかがですか。

○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国においでになる方につきましては、航空機なり、船で来られる方も一部あるかと思いますが、出発国で搭乗の手続をする際には、まずチェックインカウンターで旅券等を示してチェックイン手続をいたしまして、その後、その出発国の入国管理当局における入国審査を当然受けるわけでございますが、そこで旅券の確認が行われる。その後、今回の改正案でお願いしておりますように、航空機の搭乗口でもう一度航空会社の人に確認していただく、こういうことになるわけでございます。
 仮に偽造旅券を所持して我が国に来ようとする方でありますと、まず一番大きな関門は出発国の入管のところのチェックだろうと思うんですね。そこをすり抜けるということは、いわば専門家の目を欺くような精巧な偽造旅券を持っていたというようなことになるんだと思います。そういうものにつきましては、これは先ほど大臣からも御答弁ございましたが、民間の航空会社の職員の方も多分それは見破れないだろうということでありますので、実質、そういうケースにつきましてはこれまでと同じような結果になるのかなというふうに考えております。

○稲見委員 もう少し時間があればいいんですが、押していますので、あと、これまでも南野大臣と議論を続けてまいりました外国入国管理当局への情報提供、とりわけ難民の申請者にかかわってのことについて最後にお聞きをしたいと思っております。
 これは以前にも申し上げたんですが、UNHCRは二〇〇一年十月の執行委員会で、そしてまた難民条約の五十周年を機に行われまして日本政府も参加をした世界協議において、この情報提供の問題で確認をしております。少し読みますと、難民認定手続のすべての段階において難民申請者のすべての情報の守秘義務が尊重されなければならず、決して出身国に提供されてはならない、こういうことであります。
 これの解釈の問題で、この情報の内容には、名前やID番号など直接的に本人を特定する情報のみならず、住んでいた場所や経歴など情報の集積によって間接的に本人を特定できる情報、あるいは申請者が難民申請を行っていたという事実も含めて、これは出身国に提供してはならない、こういうふうなことになっております。
 参議院でこの難民申請者の方々の情報提供というようなことで議論があったところでありますが、とりわけ世界協議についての確認といいますか合意、これを法務省、外務省は御存じなのかどうか。そして、御存じであれば、今回の外国入国管理当局への情報提供について、とりわけ難民認定申請者についてどういう具体的な配慮を行っていくのか。
 さらには、これまでも申し上げましたが、法務省の担当者がトルコまで出かけて、警察や、地方では治安維持に当たっているのが軍隊ですから、警察、軍隊とともに調査をして情報を本国に漏らした、こういう後発難民の問題が大きな問題になって、さらにマンデートされた後発難民を退去強制するということで諸外国からも非常に大きな非難を浴びた、こういうふうなことになっております。
 したがって、前段申し上げた点の認識と、では、難民認定申請者についてはそれをきっちり区別して配慮するのかどうか。しかも、今の合意からいきますと、これから諸外国に行って法務省の職員が申請の真贋について調査をするということは厳に戒めるべきものだと思いますが、その点を含めて、ぜひ回答をお願いしたいと思います。

○南野国務大臣 先生の今の御質問は案外多岐にわたっておりましたので、まず最初に、外国入国管理局における情報提供につきましては、我が国の入国管理当局が保有するあらゆる情報を提供するようになるわけではございませんので、性質上、提供できない情報も存在しているということも申し上げなければいけないと思います。
 これまでも、入国管理局は、難民条約の趣旨等によりまして、難民認定申請者に係る情報については、相手国の国情を踏まえながら、申請者のプライバシーの保護及び新たな迫害の誘発のおそれがないことなどについて十分配意してきたところでございますが、お尋ねになっておられますUNHCRの見解に関しましては、我が国に対して拘束力を有するものではないと理解いたしておりますけれども、我が国自身の判断として、新設する情報提供規定の運用に当たっては、UNHCRの見解をも念頭に置き、そのことについては今話し合いもしながら、十分に配慮し、適切に運用してまいっておりますし、これからもそのようにしたいと思っております。
 それから、それで含まれていると思いますが、最後に、もう一つのマンデートの問題、トルコまで出かけていってという課題がございました。
 先生御指摘のとおり、現在、外務省、法務省及びUNHCRの三者で、UNHCRがマンデート難民として認定した方の取り扱い、この問題を、法務省とUNHCRとの協力関係のあり方等について今協議を行っているところでございます。
 現在も協議が継続中でございますが、その詳細について言及をすることは差し控えさせていただくのでございますけれども、このような協議を通じて、UNHCRとの緊密な協力関係を構築しまして、一層適正な難民認定行政の遂行に努めてまいろうということでございますので、親密なる話し合いを通じ、UNHCRが難民と認めるかどうか、我が国はそれについてどのように受けとめていくかという話し合いは継続いたして、努力しているところでございます。

○神余政府参考人 お答え申し上げます。
 難民認定を適切に行うため、場合によっては現地における調査等が必要になることもあろうかと考えます。その一方で、調査を行うに当たっては、もう既に御答弁もありましたように、難民認定に関する情報の取り扱いについては十分な配慮が必要であるというふうに考えておりまして、それは御指摘のとおりでございます。
 外務省としましても、このような調査の方法について、万が一にも誤解を招くことがないように細心の注意を払うとともに、関係の部局が行う調査につきましては適切な助言と協力を今後とも行ってまいるつもりでございます。
 御指摘のありました外務省と法務省とUNHCRとの間の三者の協議の点につきましては、幸いに建設的な協議が行われておりまして、望ましい方向に進展しつつあるということでございますので、外務省としましても、引き続きこのような努力を重ねていきたいと思っております。

○稲見委員 時間が参りましたので終わりますが、三者協議、マンデートされたというところに基準の違いがあるわけですから、マンデートされている方全員の待遇の問題も今進められておると思いますが、この基準の違いについてぜひ三者で合意をするように、そして、そのことをもって、難民認定申請者の個人情報を絶対に本国に教えないというふうな立場に、ぜひ法務省、外務省は立っていただきたいと思います。
 時間が超過しました。終わります。



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